学園長挨拶


おはようございます。

 年の瀬にあたり、今年の年末の挨拶のお話をしたいと思います。
先週末の京都の駅伝は須磨学園が始まって以来、初めて女子も男子も両方が出場することが出来た、とても名誉な大会でした。
 女子が全国で2位、男子が全国で6位。ベスト8の入賞に男子も女子もが入っている学校は我々だけでした。私はそれが本当に嬉しかった。
もちろん、男子も女子も両方が1位になるという事をかすかに期待はしておりましたけども、私が本当に嬉しかったのは男子女子が両方ともベスト8に入っているのは我が校だけであったいう事。それが、本当に嬉しかったのです。おめでとう。
 それから、アナウンサーの人も解説者の人も男子女子についても両方とも「須磨学園」に対して非常に前向きというか同情的というか頑張っているという評価をして頂けた事がなんとも本当に嬉しかったわけです。
 この、喜びが期待となって来年に続いていったらいいなあと思っています。

 テレビで番組を見ながらどういう人が1番になるのかという事を、ずっと考えていました。非常に強力なランナーを海外から招聘する学校が1番になるのか。私はそれだから1番になったという事ではないんじゃないかと思っています。
 1番になった人はどういう人なのか。なりたい自分になれた人はどういう人なのかという事をこの20日の競技が終わってから今日までずっと考えてきました。

 NHKのニュースは最初に政治とか経済とかが出て、最後の方にスポーツが出てきて。実はスポーツのニュースはいつも飛ばしていましたが、最近スポーツのニュースを必ず見るようになって、スポーツのニュースを見るときには、必ず優勝した人のコメントを聞くように僕はなりました。

 1つ気がついた事があります。最近スポーツで優勝している人が優勝した時のコメントを求められて必ず言う言葉です。「周りの人の応援があったから感謝している。」昔は「私がよく頑張ったから」という風にみんな言ってたと思うんですが、ところが最近のスポーツの優勝している人は感謝をしている。この感謝とは何なのかという事を実は一生懸命分析してみたんですけどね。

 私は、「なりたい自分になる」という事の前提条件として、「なりたい自分でない現在の自分」を不満に思っている人と、「なりたい自分になっていない現在の自分」を不満ではなくて、感謝をしている人、幸せと思っている人の違いが、なりたい自分になれるかなれないかの差ではないかと思うんです。

 今の生活が不満で、今の自分の実力が不満で、不満を山ほど抱えている人が、どんなに大きな目標をもってもどんなに大きな夢をもっても、それは実現出来るでしょうか。私は、そうではないと思います。今自分の事が不満な人、今自分が置かれている立場を嫌だと思う人に、私はなりたい自分はやってこないと思います。私は夢は実現しないと思います。

 今の自分でいいのだ。今はハッピーなのだ。兵庫県代表で、近畿代表で自分はハッピーだと。ハッピーだけれども出来たらそれ以上ハッピーになりたいという、そういう風に思う人に私は勝利の女神が、なりたい自分が実現されるのではないかなというふうに思いました。それはこのほんの数日の事ですけれども、私はなんでそんなことを、もっと早く自分が気がつかなかったのかと思っています。

 毎日不満をタラタラ言っている人に、幸せは絶対に来ないんじゃないでしょうか。なりたい自分になる為には、なりたい自分になるという強い意志と同時に、今の現状を否定しないで今の現状はこれでいいのだという、自分は保護者に守られて学校に守られて十分ハッピーなんだと。そういう気持ちを持つことが実は、周りから自分に幸せを呼びこんでくる。そういう事ではないかなというふうに思うようになりました。

 ですから、この年末から来年のお正月にかけて「なりたい自分になる」という事を、是非しっかりタイムマネージメントを通して考えてほしいという事と同時に、自分たちが今置かれている自分の境遇、 実は、社会は、日本は、世界は、とんでもない不況の真ん中にあります。この日本が戦後、かつて経験したことのない不況、この中で仕事が苦しくなってきたというふうに言われるお父さんやお母さんもいらっしゃるかもしれない。私はその時に、自分の仕事が苦しい、自分の家の仕事が苦しいということを、言うのもいいと思うけれども、実は今までそれだけ幸せだったということをまた自分はそういう幸せな環境にどんなに景気が悪くても置かれているのだということを、もう1回、考えてほしいわけです。

 日本で2位にしかなれなかった。日本で6位にしかなれなかったと言って、自分をがっかりさせるのではなくて、2位になったこと、ベスト8にはいって6位だったという、今のこの現状を積極的に肯定をして、自分で自分をほめるということをぜひ、ひとりひとりの諸君にしてほしいというふうに心から願っています。
みなさん、よいお年を。



2009年12月22日 学園長 西 和彦