学園長 訓話


 おはようございます。4月の始業式は、学校にとってはお正月みたいなもので、だから「あけましておめでとうございます。」と言ったらいいのか…。でも4月は4月の雰囲気があるから、お正月と一緒にはできないですね。

 まずいちばん最初に私が言いたいのは、始業式とか終業式に集まる…今日20分かかっている。20分かかっていて、先生方に「あっち、こっち、」とか言っている、あれをですね、何も言わなくても、その場所を一人ひとりが、その壁にメモリをつけて1・2・3・4・5・6・7・8・9・10…とメモリをつけてですね、それぞれのクラスの先頭の場所を壁につければ、右に行け左に行けとか言わなくても全員が並ぶことができるんじゃないか。そういうことを今年、チャレンジしてほしいと思います。
 今日は20分もかかったけれど、何も言わなくて10分でここに整列ができるというふうにしてほしいと思います。20分かけてここに来て、それで君が代を聞いて僕の話を聞いて校歌を歌ってお終い…まあ、そんな値打ちがあるのかといったら、始業式に値打ちがあるのかといったら、無いっていうふうには口が裂けても言えないわけですけれども、4月のいちばん最初のいちばん大切な時間を20分も並ぶということに費やして…座っていた諸君はとても寒そうだったですよ…そういうあほなことはしたくない。放送で夏の暑いときとか冬の寒いときとかに始業式とか終業式をすることがある。なんでかといったら、こんだけたくさんの人が一緒に集まると、一人がインフルエンザをもっていただけで、全員がうつってしまうからです。だからクラスに放送でやるんですけれど。そちらのほうがよっぽど効率が良いかもしれない。ただ効率がいいんだけれども、ただ直接、私が話しているのを語りかけるというのもなくてはいけない。そういう、そのジレンマがあるわけです。
 講堂に集まるのに、20分かかることを10分でできるようにぜひ、やってみてください。もう一つは、いい歳をしている、ものすごく難しい試験を通って入ってきている諸君らに、右に行け左に行けと言わなくてもね、わかります。いつもの定位置にならんで、というだけで絶対に一発でここにそろうことができるんではないかと、私は諸君らが入場する前からここにいて、思ったわけです。だから今日のいちばん最初のお願いというかお話は、整列するのにもう少し短い時間でできる努力を知恵を出しながらやってみようということです。それをお願いしたいと思います。

 2番目のことですけれど、PLAN、DO、SEEという言葉があります。みなさん知っていますか?ノートによく書いてあったりしますね。PLAN、DO、SEEっていうのは、大人になって会社にはいると必ず教えてもらうことで、PLANっていうのは計画する、DOっていうのは実行する、SEEというのは反省する。PLAN、DO、SEEっていうのは、ひとつのいろんなことをやるときのプロセスになっているわけです。私はこのPLAN、DO、SEEっていうのは、これだけでは足りないと思っています。何が足りないのか。計画を立てて実行して反省をするだけでは足りない。それは、PLANの前に、SEEがいる。つまり、何か計画をたてて実行するというというときに、一番大切なのは、計画する前に世の中がどうなっているのかという調査です。お花見に行こう、お花見に行こうと計画を立てる前にやらなくちゃいけないことがあります。何をやらなくちゃいけないか。それは、桜がいつ咲くかを調べることでしょう。桜がどこで咲いているかと調べることでしょう。だから、その何かをするときに、しっかり調べるということを今年諸君らにぜひやってほしい。
 東京大学を受けるんだ、受ける前に東京大学を調べる必要がある。医者になりたいと言う前にどこの医学部だったら自分が行けるのかということを調べる必要がある。そういう計画を立てる前の十分な調査、それもインターネットのグーグルで調べて終わりというのは、それはあまりに安易すぎます。あまりに悲しすぎます。だから、そういうことではなくて、しっかり調べる。図書室に行って調べるのも方法かもしれないし、本屋さんに行って調べるのも方法かもしれないし、その道の専門家に聞くのも調べる方法かもしれない。一番手っ取り早いのは、先生に聞くというということだと思うですね。先生に聞いてみる。「そんなんわからへん」という先生は一人もいないと思います。だから何かを考えて実行する前に、しっかり調べてみるということを、ぜひ、くれぐれも今年はお願いをしたい。

 3番目にですね、まだ実現できるかどうかはどうかわからないけれど、携帯電話を学校でどういう風に使ったらいいかということを今、見直しをしています。制服というのをみんな着ていますね。帽子のある学校では帽子のことを制帽といいます。鞄のことを制鞄、靴のことを制靴といいますね。それならば携帯も制携帯というのがあってもいいと思うんですね。全員携帯を持っている。学校で携帯を使うのを禁止しているのは、学校で携帯を使う時間が8時間と短い。朝の8時から夕方まで、学校にいる時間は短い。だから学校で携帯でメールとかやっていると、時間の無駄というか、学校で勉強する時間が減るわけ。だから学校で携帯を使うのはダメと言っているんです。
 ところがね、須磨学園の伝統は「新しいものを勇気を持って取り入れる」ということなわけです。たとえば中高一貫ではパソコンが一人1台になっている。それから須磨学園はパソコンの教育を兵庫県で始めた最初の学校の一校です。新しいものは積極的にとりいれようと。そうすると学校で制服や制鞄のように、学校が全部この携帯でやろうとすると、どういう携帯がいいのか、ということを今、情報科目の先生と作ろうとしています。おそらく来年の4月には全員が学校の携帯をもってということをしようとしていますけれども。候補としてはドコモの携帯か、I-PHONEかという話もあります。それから今年のどこかで、全員が来年から使うリハーサルみたいなことをするかと思うんですが、それにもぜひみんなで参加をしてほしいと思っています。I-PHONEを全員がもっている学校っていったら、面白いじゃないですか。
 それでね、それで言いたいんですけれど、最近、みんな携帯で話してテレビ見てネットで調べて終わりというのが多くないか?僕は大人はそれでいいと思うんですよ。でもね、生徒はもっとしなきゃいけないことがある。何かというと、電話をかけるかわりに手紙を書くということ。テレビを見る代わりに新聞を読むということ。ネットで調べる代わりに読書をするということ。でね、手紙をちゃんとかけて、新聞をちゃんと読んで、読書がちゃんとできる人がはじめて、携帯をかけてテレビを見てネットを使いこなすことができるんじゃないかと思います。
 だからみなさん、学校にいる時期に、携帯ももちろん必要だし携帯を使うことを禁止はしたくない。でも禁止をしないという条件として、手紙を書くということ、それから新聞を読むということと、読書をするということ、この3つをしっかりやってほしい。これが3番目のお願い。携帯もテレビもインターネットもいいけど、手紙を書くということと、新聞を読むということと、読書、これを今年の大きなテーマにがんばってほしいと思います。

それではこれで話を終わります。


2009年4月6日 学園長 西 和彦