学園長 訓話


 今日から1学期が始まります。新しく中学校の1年生と高校の1年生を迎えて、1年後には高校3年生は卒業していきます。最初の日にあたって、今年1年の取り組みについて、気をつけてほしいことを、2つ、お話をしたいと思います。

 「須磨学園はいじめを絶対に許さない」ということです。みなさんの中で、自分がいじめられたと思ったら、お友達から、先生からいじめられたと思ったら、ただちに申告をしてください。それは証拠があるとか無いとかという問題ではありません。いじめられたと思ったら、10秒後に申告をしてください。いじめるな、というふうに言ってもいじめるのが好きな人は必ずいる。私がこの話をどうしてするかというと、ある週刊誌に載っていました。学校の中でのいじめがどんどん、どんどん、ばれないようないじめ方をする。見えない所を殴る、それからインターネットを使って、携帯電話を使って、掲示板にいじわるな事を書く。須磨学園には無いと、私は信じますけれども、マスコミを通じて、そういういじめの手口はどんどんどんどん出てきている。このいじめをなくすためには、一人一人の良心にいじめてはいけないということを言い続けると同時に、いじめたら、その結果がどうなるのかということを、ひとつの例外も無しに、我々が断固として実行することにあると思います。ですから、いじめてはいけない。それから、自分はいじめたつもりはなかった、といういい訳を、いじめた人は必ず私の前でします。自分がいじめる気持ちはなかったと思っても、それを受けた人がいじめられてると思ったら、いじめは成立するんです。いじめというのは、いじめられた側の主体性において成立するんです。ですから、何回も繰り返して言いますが、いじめてはいけない。いじめられた人は、ただちに、回りをみまわして、そこにいる教員に申し出てください。われわれはそれを許しません。証拠が無くても、学校はそれをはっきりさせるような処方を、ただちにとります。

 2つ目は、私は神戸と東京に住んでいます。神戸に来て、3月と4月はずっと神戸にいるんですが、神戸に来て、この街のことを本当に好きだと思うと同時に、ひとつだけ、たえられないぐらい嫌なことがあります。それは、神戸は信号無視をする人が多いということです。東京ではそんなにみんな信号無視をしない。たとえば例を言いますと、元町の前の横断歩道、信号が赤になっても、みんな、歩いてわたる。高架のところ、誰もいなかったら、平気で信号無視をする。どうして神戸だけそんなにが多いのかと気になって、京都はどうかな、大阪はどうかな、名古屋はどうかな、と調べてみたんですけれども、残念なことに神戸は多すぎる。東京は少なかったです。これはどういうことなのかな、と考えてますけれど、神戸に住んでいる人に「赤信号を守れ」と言う立場にはないから、あまりそういうことを追求することは止めましたが、諸君らにお願いしたい。みなさんはまだ、車の運転をしたことがないと思うんですが、車の運転をしている人からみると、どんな感じになるかというと、車の運転をしている人は、もともとは信号を信じて運転をしているんです。だから赤だったら、人は渡ってこないと信じて運転をしているわけです。ところが、赤でも人が渡ってくるかもしれない、そう思って運転していると、どんなに大変かわかります?赤信号でも人が渡ってくるかもしれない、と思ってビクビクしながら運転するストレスは大変なものです。諸君らは赤信号になって渡るとしたら、どう思っているのかというと、赤信号だから車が止まってくれないかもしれないけれど、止まってくれなければ交通事故が起こって、交通事故が起こったら、無条件に運転している人が悪いから、自分は勝つんだと思っている人がいるというふうに聞きます。ルールを守るということが大切ということもあるけれど、歩いている人と運転している人が互いに信じあえないような、そういう状況が悲しいと思うわけです。お互いが信じあえるような街、そういう神戸になってくれたらいいな、とそういう風に強く思います。

 誰でも間違いはある。誰でも失敗はあって、誰でも油断はあります。オリエンテーションの時に、あんなに強く言ったのに、茶髪にしてきた人がいました。茶髪にしてきた人に、1日目は私は怒らなかった。1日目は次の月曜日に直してくればいいと思ったから、注意をして、その人は今日、直してきました。最初の日にその人の保護者もそれを知っていて許していた。それは学校に対する大きな侮辱だと思うんですね。茶髪を止めなさい、と言われて、こういう風に言ったそうです。この色の茶色いのは私の地毛です。ところが、その茶髪の生え際のところは黒かったんですね。誰が見てもわかるような嘘をつくなよ、という話です。いちいちそんなことで怒っていたら、学校なんてやっていられない、教員なんてやっていられない、という話になるけれども、そういうことに関して学校としては、これっぽっちも妥協するつもりはありません。ルールというものがそこに存在するんであれば、ルールを守るというふうに署名をして毎年4月に誓約書を提出しているんであれば、それをしっかりと守ってほしい。ルールを守るということが、実は社会に出て、一番トラブルを起さない、そういう勉強になると思うからです。

 いじめは絶対にいけない、ルールはしっかり守ってほしい、学校の中のルール、学校の外のルール。とくに、絶対に横断歩道を赤で信号を渡ってはいけません。誰もいないから渡ってもいいという発想も止めた方がいいと思う。それはルールを守らないのがいけないということではなく、社会の中の人と人との信頼関係を自ら壊すという行動だからです。この2つをしっかりと覚えておいて、この1年を楽しい、実り有る1年に、3年生はなりたい自分になるためのステップとしての行きたい大学にいけるように、ぜひ、健闘をお願いしたいと思います。



2008年4月7日 学園長 西 和彦