在校生代表 祝辞


 例年になく厳しい寒さの中にも、日ごとに春の暖かさが感じられる季節となりました。

 三年生の皆様、本日はご卒業おめでとうございます。在校生一同、先輩方の晴れの門出を心からお祝い申し上げます。

 思い返せば先輩方と初めて出逢ったのは、私たちが須磨学園に入学したその日のことでした。真新しい制服を着て、少し緊張していた私たちの目の前で、堂々と校歌を歌ってくださった先輩たち。その凛とした姿は、高校での最初の目標となりました。先輩方と共に過ごした学校生活を振り返りますと、本当に数々の思い出が浮かんでまいります。

 生徒会活動では、生徒主体の体育祭や文化祭の第一線に立って大成功へと導いて下さり、委員会活動では、戸惑うばかりで何から手を付けたらいいのかさえ分からなかった私たちでも手際よく仕事ができるよう、率先して導いてくださいました。

 文化祭や体育祭に対する先輩方の情熱と行動力には、ただただ圧倒されるばかりでした。文化祭では、さまざまな制約のあるなかで、お化け屋敷などの新しい趣向を凝らした模擬店やステージを作り上げていく自由な発想力。体育祭では、協力してバトンをつないだリレーや一糸乱れぬ動きで私たちを魅了した応援合戦での団結力。「どこを取ってみても、やはり先輩・・・、敵わないなぁ」と思いました。

 中学の時よりもずっと厳しくなり、辛く苦しく思うこともたくさんあったクラブ活動では、先輩方のかけてくださる優しい言葉に何度も励まされ、そのおかげで頑張ることができました。大きな声を出して日々積み重ねた練習も、試合に勝つ喜びも負ける悔しさも、そのなかから学んだ教訓や反省したこともすべて、皆様が引退された今でも私たちの中に息づいております。

 日常生活でも、朝早くから自主的に教室で勉強されていたり、夜遅くまで廊下で先生方と一緒に納得のゆくまで問題に向かわれていたりと、そういった先輩方のお姿を拝見するたびに、「お手本にすべき姿勢だ、見習わなくては」と刺激を受けました。生活面でも、先輩たちは私たちの目標でした。

 しかしながら、先輩方から学ばせていただける機会が今日限りでなくなってしまうのだと思うと、非常に寂しく不安です。先輩方もまた、それぞれの選んだ新たな道へと進んでいくにあたって不安になるときもあるかも知れません。私の好きな言葉に、”Where there’s a will, there’s a way.”という言葉があります。「精神一到、何事か成らざらん」。その言葉通り、強い気持ちを持ち、この三年間、多くの困難を乗り越えられてきた先輩方。これからもまた、そんなかっこいい先輩であり続けてください。

 今ではもう、この須磨学園の坂も、その坂で私たちの足を止めた夏の暑い日差しも冬の冷たい風も、皆様の中では思い出の一つになっているのかもしれません。しかし、これからも私たちはその坂道を、先輩方の背中を追いかけながら、毎日ここ須磨学園に通っていきます。私たちにとって卒業生の皆様が良き先輩でいてくださったように、私たちも、後輩にとって良き先輩でいられるように努めてまいります。そして、いつかまた再び母校へと足を運んでくださる時を、在校生一同、心よりお待ちしております。

 最後になりましたが、卒業生の皆様の更なるご健康、ご活躍をお祈りし、お祝いの言葉とさせていただきます。



2008年3月1日 在校生代表 藤稿 衛