卒業生代表 答辞


 例年よりも早い春の訪れを告げるやわらかな日射しに包まれ、梅の花が咲き始めた今日の佳き日、私たち376名は卒業の日を迎えました。振り返れば3年前の春、私たちはすべてのものが新しく感じられる中、希望に胸を膨らませて今と同じこの場所に立っていました。この3年間は本当に短かかったけれど、一人一人が一生に一度しかない高校生活を十分に満喫し、他では得難い貴重な体験をし、多くの思い出を作り、自分を成長させることができたのではないでしょうか。

 私は特進コースに所属し、3年間勉学に励んできました。入学当初から、医師という「なりたい自分」がはっきりしていた私はその夢を実現させるため、授業の後特別講座を受け、その後も学校に残って勉強しました。通学に片道2時間かかる私は、朝5時に起き夜8時に帰宅する毎日で、それは想像以上にハードなものでした。家で勉強する時間は2時間ほどしかなく、塾や予備校に行く時間もありませんでした。しかし、私はこの須磨学園を選んで良かったと思っています。なぜなら、塾や予備校に行く必要もないくらい楽しく、ためになる授業を受けることができたからです。私は常に授業に集中し、授業を活用して3年間勉強してきました。また毎回小テストがあり、クラスメートもしっかり小テストに取り組んでいたのでクラス全体が自然に勉強する環境となり、互いに切磋琢磨して頑張ることができました。また時間がない私にとっては毎週のタイムマネジメントを行うことでやるべきことの確認ができ、それを実行していくことで自分の弱点が克服され、学力を伸ばし、自分の生活も見直すことができました。

 行事を通しても多くのことを学びました。体育祭や学園祭を通してクラスが団結し、各クラスごとに個性やチームワークを発揮しました。また、自分達で企画・実行した修学旅行を通して自主性と責任感が養われ、友達の意外な一面を知ることができました。その中でも特に印象に残っている行事は3年の時の体育祭です。6学年すべてが揃った初めての体育祭で、クラスや学年の枠をこえて中学生と高校生が同じ団を構成し、全く知らない中学生や違うクラスの人達を、同じ団のメンバーとして必死で応援しました。毎日遅くまで残って応援合戦の練習にも取り組み、応援合戦も例年以上に盛り上がりました。みんなで正々堂々、はつらつと体育祭を行い、閉会式では大声で気持ちよく校歌を歌うことができました。そんな団対抗の体育祭を通して下級生を思いやり、仲間と協力することの大切さ、一つのことを成し遂げることの素晴らしさを改めて実感しました。

 このように多くのことを体験し、素晴らしい思い出を作ることができたのも、多くの方々のご指導とご援助があったからです。ここで皆さんに感謝の気持ちを述べたいと思います。

 まず3年間温かく見守り、熱心にご指導くださった理事長先生、学園長先生はじめ諸先生方。理事長先生の笑顔と励ましのお言葉、学園長先生の心に残るお話はいつも私たちの支えとなり、やる気を奮い立たせてくださいました。
そして夜遅くまで質問に付き合い、悩みを聞き、時には厳しく叱ってくださった先生方。本当にありがとうございました。卒業後も良き相談相手としてアドバイスをよろしくお願いいたします。

 次にずっと私たちを支えてくださったお父さん、お母さん。毎朝一緒に5時に起きてお弁当を作って送り出してくれたお母さん、直接口に出して言うことはあまりなかったけれど、いつも私の体調を気遣ってくれたお父さん、家族の協力があって私は3年間の皆勤を成し遂げることができました。進路においても大変迷い、目標を達成できるだろうかという不安に押しつぶされそうになった時、いつも側にいて「大丈夫だよ。」と励ましてくださいました。今まで育てていただき、本当にありがとうございました。これからも心配をかけるかもしれませんが、いつか自慢の息子や娘となれるよう、これからも努力を続け、精神的にも成長していきたいと思っています。

 そして家族よりも長い時間を共に過ごし、時にはライバルでありまた良き相談相手になってくれた友達。時には喧嘩することもありましたが、その度ごとにまたお互いを理解し、高め合っていくことができました。心から友達といえる皆さんに出会えたことを本当に嬉しく思います。

 最後に在校生の皆さん。先ほどは心のこもった祝辞をありがとうございました。日々の生活においての皆さんとの交流も私たちにとって忘れがたい貴重な思い出となりました。これからもより一層勉学や部活動、生徒会活動に励み、須磨学園の伝統と校風をさらに充実、発展させていってください。皆さんの活躍を期待しています。

 私たちは明日から進学あるいは実社会へとそれぞれの道を歩んで行きます。この3年間の日々の生活の中で、一人一人が自らのなすべきことを自覚し、妥協することなく上を目指していく精神が私たちの中で培われていきました。
今後はこの精神を礎とし、「なりたい自分になる」ための努力を継続して夢を実現させ、様々な分野で活躍していきたいと思っています。最後となりましたが、今後の須磨学園のますますのご発展をお祈り申し上げて、答辞の言葉とさせていただきます。



2007年2月17日 卒業生代表 谷垣 智美