学園長式辞
西 和彦

本日、ここに入学式を迎えられたみなさんは、
今から六年後の卒業式の日、
卒業アルバムに自分がどのように写っているでしょうか。
自分のめざした志望校にめでたく合格をして、満足をしている姿。あるいは、
友達と楽しく学校生活をおくって満円の笑みを浮かべて写っている姿

みなさんはどのような姿で、六年後に写っていたいですか。
写真に写っている姿、あるいは写っていたい姿を想いながら
自分のあるべき姿、なりたい自分を今しばらく、想像してみてほしいのです。
・・・・・30秒・・・・・

須磨学園が一番大切だと考えていることは
学園の試験の偏差値ではありません
一流大学への進学だけではありません
一流会社への就職でもありません

須磨学園が一番大切だと考えていることは
一人一人が、そのひとそのひとの「なりたい自分になる」ということです

では、どうしたら「なりたい自分」になれるのか?
どのような「なりたい自分」を、自分の目標に持てばよいのか?

それは、一人一人が
自由自在に
自分にあうように
なりたい自分をデザインするところから、始まります。
具体的にどのようにデザインするかということについては
須磨学園の教育方針と関連させてお話をしてみます。

須磨学園の教育方針をひとことでいえば、
勉学だけではなく、勉学によって身につけ、育んだ
一人一人の「専門性」と「人間性」と「国際性」によって
よき社会人として社会や国や世界に貢献し
将来の仕事を通して、自分のライフスタイルを確立し、
ライフスタイルそのものを自分自身が楽しむ。
そういう人を創っていくことにあります。

それには「楽しさ」ということと、「温かさ」ということが大切です。
学生時代が勉強だけで終わってしまうとどうなるでしょうか?
社会にでて、自分の勉強が何の役にも立たず
社会にも貢献できなくて
おまけに中学・高校時代が自分自身はちっとも楽しくなかったとしたらどうでしょう。
最悪です。そんなのイヤでしょ?

専門性を身につけるということでは、
たとえば科学の勉強をして社会に貢献するということですが、
それだけでなく、自らも科学を楽しむ、ということを忘れないでほしいのです。

国際性を身につけるということは、
たとえば英語を学び、それを通して社会に貢献すること、大切です、
それと同時に自分自身が英語を楽しむ、ということを忘れないでほしいのです。

また、人間性ということを考えてゆくと、それは「心」ということに行き当たります。
では、心をどう持てばいいのでしょうか。
去年99歳でなくなった、私の人生の先生である中山素平さんという日本の誇る銀行家の方がいらっしゃいました。
その中山さんに直接いただいた言葉があります。
私の一番好きな言葉です。
  「 心を広く
    心を高く
    心を深く
    そして、心を温かく 」
皆さんにこの言葉を贈ります。
皆さん、どうか
広く、高く、深い人になって下さい。
それと同時に、温かい人に・・・

こういったことを頭においてこれからの学校生活で
「なりたい自分」を探し、
「なりたい自分になる」ことを
    成績がちょっと悪くても
    字が下手でも
    ガラスを割っても
    自分に自信が無くても
そんなことにとらわれないで
遠慮せずに、どんどんデザインしていってください。
こういったことまで、須磨学園はお手伝いしたいのです。
こんなことを言っている学校は、私の知る限り、日本では須磨学園だけです。

今年で中学校は3年目になりますが、
この2年間の経験として、1年の入学した年の勉強の姿勢が一番大切であるということが、判ってきました。
受験が大変だから、この1年ぐらいは、遊んでもいいという考えは禁物です。
受験の成績と1年性の期末の成績には相関がありません。
つまり、入学した成績と関係なく、勉強した人はのび、しなかった人は伸びないということです。

タイムマネジメントも大切です。
後で校歌を歌うS1の学年は4クラスありますが、
その中でJ1で1組、J2で3組、S1で4組という、大変伸びた諸君らが何人もいます。
みんなタイムマネジメント、プロジェクトマネジメントをしっかりやった人たちです。
今度のJ2はBコースが2組になりました。タイムマネジメントをしっかりやって、Aコースの成績がどんどんあがったからです。

ということで今年の新1年生は、少し厳しめするように、と指示をしています。
今のうちにしっかり取り込むことによって、来年からがかならず、楽になると思っています。

保護者のみなさまにお願いがひとつあります。
お子様が話される進学や将来への希望について、
どんなことであっても、
どうか、徹底的に、積極的に、肯定的に、
暖かく励ましてさし上げていただきたいのです。

「それはいいね」
「やってみたら」
「できるよ」
「だいじょうぶ」
「いけいけ!」

保護者のそういう言葉を聞くだけで、
子供たちは力が心の底から湧いてくるような気がするに違いありません。
私が今あるのは、私のことを徹底的に信じて励ましつづけてくれた
父と母のお陰です。

理事長も私も、
須磨学園の教員・職員全員が
君たち一人一人をサポートします、
君たち一人一人を応援します。

さあ、夢に日付を入れましょう
そうすれば、夢は人生の目標になります
それを目指して、一緒に、たくましく、楽しく歩んでいきましょう。