「大切な税制を支えていける社会に」

須磨学園中学校二年 吉田衣里菜


 町を歩いていると至る所に税金を投じて建設されたものに出会う。道路・学校・水道などいずれも生活に不可欠のものだ。また次回の衆院選挙でも税金で賄われる年金の改革案が焦点の一つになっており、日本の将来にとって税金という国の財源がいかに大切かが伝わってくる。

 そんな中、大変驚くことを知った。小学校六年生の児童の将来の希望職種を調査したところ、何と男子の大半がフリーター志望だというのだ。この傾向は一校だけに限らず他の地域、別の学年においてもみられるとのことだ。おそらく最近になって定職に就かないフリーターやニートと呼ばれる人々が注目され始め、社会現象として扱われるようになった影響を受けてのことだろう。しかし、現実に今や三百万人近くの人々が定職に就かず、税金もまた納めていないという現状は税収の確保という点でも大きな問題になっている。

 税金は国の基盤を支える大切なものだ。国民は、税金を財源としたさまざまな行政サービスを受けて生活している。この国で税金に関わることなく生活していくのは無理だと思う。日本国中が国に管理されていて税金はいろいろな場面で私達を支えてくれるものに姿を変えている。といってもこれは、皆がきちんと税金を納めていればの話だ。定職に就きながら税金の支払い義務を拒否する人がいる。その人達の言い分は、税制の不公平感や、使途の不透明性が承服できないというところにある。また一口にフリーターといっても、本当に定職に就きたくない人もいれば、いずれは定職に就くまでの仮の生活としている人、また定職に就きたくてもつけない人もいる。

 このように考えていくと、税金を上手に払ってもらう方法も考えられなければならないが、人々が払える状態にいられる環境を整備していく必要性もまた、検討しなければならない。失業者対策や働きたくても体が不自由なために働けない弱者の救済などは是非率先して行われるべきだと思う。

 なるべく多くの人々が納得して気持ちよく税金を払えるような社会が実現すること、これが成熟した社会の本当のあり方ではないだろうか。将来への展望をしっかり持った税制のもとに、大人達一人一人が一人前の社会人として厳しくても仕事を責任感を持ってこなし、社会にきちんと税金を払っていく、その積み重ねの毎日の中から自分も社会を支えているという誇りが生まれていくだろうし、また自らも社会から守られているという安心感をもって幸せに生きていける。こんな大人達をモデルにして子供達は元気に育っていくのではないだろうか。日本の将来は次世代を担う子供達に委ねられている。子供達に税金がいかに社会を、そして私達一人一人を守ってくれているかをしっかり伝えていける社会を私達は形成していかなければならない。