卒業生代表答辞
池田 智子

 冬のりんとした寒さの中、梅の花もほころび始め春の訪れを感じるこの佳き日、私たち413名は卒業を迎えました。振り返れば3年前の春、私たちはこの須磨学園に入学してきました。新しい制服、新しい教科書、新しい友達。すべてのものが新しいように感じ胸をわくわくさせ、また少し不安を抱きながらこの坂道を登ってきたことがまるでついこの間のことのように思われます。なんとあっという間の3年間だったのでしょう。しかし、そんな短い3年間の中でも一人一人が貴重な経験をし、何にもかえることができない大切な思い出をつくることができたのではないでしょうか。
 私は特進コースに所属し、、3年間女子バスケットボール部で活動してきました。勉強と部活の両立は決して簡単なものではありませんでしたが、周りの友達の協力や、先生方のご配慮のおかげでみんなと同じように大学入試に挑むことができました。楽ではない分、やりがいがあり、スポーツも勉強もという充実した毎日を送ることができました。私だけでなく、たくさんの人が自分の進路を切り開くために勉強に励んだり、厳しいスポーツの世界で頂点を目指して練習に打ち込んだりと、一人一人の目標は違うけれど、それぞれが楽ではない道を進んできたいと思います。そしてその中で「やらされていた勉強」「やらされていた練習」から「自分で学ぶ姿勢」へと変わったと思います。私は部活を引退してから、9時までの自学に進んで参加しましたが、そこには意欲を持って黙々と勉強する友の姿がありました。そして友との間には「刺激しあい励まし合う」そんな絆が生まれたと思います。とても勉強しやすい環境をつくって頂いたことに感謝したいです。
 また、行事を通じてもたくさんのことを学びました。生徒会の人たちを中心に全校生で取り組んだ体育祭や文化祭。各クラスごとに個性やチームワークを発揮できたと思います。そして友と協力すること、友を信頼すること、私たちが生活していく中で大切な多くを学びました。たくさんの行事があった中で私の心に一番残っているのはやはりみんなで企画し、実行した修学旅行です。4泊5日のこの旅行で良いところも悪いところも含めて友達のいつもと違ういろいろな面を見つけることができました。そして最後の日、クラス発表の後、船の中で起こった突然の“学年部長の胴上げ”。あれは学年が一つになれた瞬間ではなかったでしょうか。あの時クラスやコースを越えて全員同じ思いで荻野先生の姿を見つめていたという不思議な一体感を味わいました。また学年全員が修学旅行という大きな行事をやり遂げたという達成感や、何日も前から私たちの一生の思い出となるように計画し、見守って下さった先生方への感謝の気持ちのあらわれでもあったと思います。
 ほんとうに多くの人に助けられ、協力してもらって送ってきた学園生活でしたが、今この場をお借りしてお世話になった方々にお礼を言いたいと思います。
 まず、勉強はもちろん、さまざまなことにおいてお世話して下さった先生方へ。いつも笑顔で声をかけてくださった理事長先生。先生の激励の言葉は温かく、とても嬉しかったです。そして学園長先生。始業式や終業式などで、いつも心に残るお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。それから、いつも私たちの一番身近なところにいて、供に歩んでくださった学年の先生方。忙しい時もいつも私たちのことを気にかけてくださいましたよね。年末の12月31日や年明けの1月1日までも私たちのために授業をして下さった先生もいました。時にはさぼっている私たちの背中をおしてくださったり、本気で悩みごとを聞いてくださいました。心から私たちのことをサポートしてくださったことにとても感謝しています。たくさんたくさん迷惑をかけたけれど、これからもずっとずっと先生のかわいい生徒でいさせて下さい。そして私たちが安心して学園生活を送れるようにいつも門の前で見守ってくださった守衛さんや、いつも温かくておいしい学食を作ってくださった食堂の方々、見えないところで仕事をしてくださった事務の方々、購買部の方々。こういった影から支え続けてくださった方々への感謝の気持ちも忘れずにいたいです。
 次に今までずっと温かく見守り続けてくれたお父さん、お母さんへ。自分の行き場のない不安やいらだちを反抗という形でぶつけたり、迷惑をかけたりもしたけれど、それでも見捨てずに支え続けてくれてありがとう。今こうして卒業できるのも、お父さん、お母さんのおかげです。これからも「産んで良かった」「ここまで育ててきて良かった」と思える立派な娘、息子になれるように努力したいと思います。
 次にこの須磨学園で供に歩んできたかけがえのない友達へ。私にとって自分のクラスはとても居心地の良いものでした。授業で遅れている私にノートを貸してくれる友達、進路のことで悩んでいる私にまるで自分のことにように一緒に悩んでくれた友達、ライバルと呼べる友達。こうした友達がたくさんいるからどんなにつらいことがあっても「この場所では笑っていられる」そんなクラスでした。けんかすることもあったけれど、そのたびに少しずつ相手のことを思いやることができるようになりました。「こいつとは一生友達でいたい。」そう思える人にたくさん出会えたことを嬉しく思います。
 そして部活のチームメイトのみんなへ。この3年間は家族よりも仲間達といた時間の方が長かった気がします。初めはみんなバラバラだったけど、何か一つ悲しみや苦しみを乗り越えるごとにまとまっていきました。今ではもう私にとってもう一つの家族のような存在です。つらいことを一緒に乗り越えたことで、勝利を手にした時の喜びは何倍にもなりました。嬉しい時は共に喜び、つらい時は共に悲しむ。時には間違った私を本気で怒ってくれる。こんな最高の仲間と巡り会い、須磨学園で一緒にプレーできた奇跡に私は感動したいです。そして最後までこんな腑甲斐ない私たちを応援し、下から盛り上げてくれた後輩や、毎日毎日自分の時間を割いて練習を見てくださり、時には厳しい言葉で、普段私たちが当たり前に考えていた大切なことを考え直すきっかけをくださった顧問の先生にも感謝したいです。
 そして最後に在校生のみなさんへ。これからも勉強、スポーツ、行事などあらゆる面でこの須磨学園をさらに活性化させていって下さい。そして「なりたい自分」になれるようにこれからも頑張って下さい。
 私は「須磨学園はすばらしい学校だよ。」と誰にでも胸をはって言えます。この須磨学園を卒業することを誇りに思います。進学する者、社会に出て行く者、それぞれ進む道は違いますが、この学校で培ってきたものを新しい場所で発揮し、活躍できるように努力を続けることを強く決意します。
 最後になりましたが、須磨学園のますますのご発展と、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。