理事長式辞
西 泰子

まず最初に、須磨学園中学校が、兵庫県知事より設立認可をいただき、
開校の日を迎えることができたのは、多くの方々のご理解とご支援があったからです。
ご支援とご尽力をいただきました関係各所の皆様方に厚く御礼申し上げます。

ご父母のみなさま、ご子息・ご子女のご入学をお祝い申し上げます。

そして、新入生のみなさん。ご入学、おめでとうございます。
私たちは、みなさんのご入学を心より歓迎しています。

満開の桜の中、この坂道を上がっていらっしゃった今日のこの日に、
みなさんは須磨学園中学校の記念すべき第一期生として今一歩を踏み出されました。


須磨学園中学校には、---みなさんはすでに知っているように、------
予め決められている守らなければならないことがら、
また、しなければならない課題が、数多くあります。

小学校と大きく違うところは、私たちの中学校には、制服があります。
制服は第一ボタンを留めて、スソを出さずに、
きちんと着なければならないという規則もあります。

私たちは土曜日も授業をします。予習と復習は半ば義務づけられています。

新入生のみなさんは、それらを承知で、須磨学園中学校にくることを選ばれました。

適当に勉強をこなしながら、ほどほどにいい成績をとって友達と楽しく遊ぶという
別の選択----つまり自由で開放的な環境のところもあったでしょう。

ところが、みなさんが選んだこの須磨学園中学校は、
みなさんをやさしく育み教えるだけでなく、
厳しく鍛えることを考えています。

なぜなら、私たち須磨学園が目指すことは、
みなさんのもてる力を最大限に伸ばし、
次の段階の教育を受けるにふさわしい知力と気力と体力の基礎をつくることだからです。

須磨学園でのこれからの6年間は、みなさんが大学に進み、学ぶための準備の期間です。
そして、それは同時に大人になって社会の中でよりよく生きていくために
必要な力を蓄える期間です。

みなさんが、「なりたい自分になるために」、つまり自分の夢や目標に近づくためには、
苦しいことも、つらいことも、嫌だと思わない。
それを乗り越えていこう、挑戦しようという精神の持ち主の集まりだと見ています。

ですから、私たちの仕事は、みなさんを叱咤激励しながらみなさんが進む道を指し示し、
環境を整え、困難もよろこびも共有しながらともに成長していくことです。

一番大切だと考えていることは、
ひたむきに努力を積み重ねてきた人にもたらされる
深い満足とよろこびを、みなさんに経験していただくことにあります。

ところで、今時の中学生、高校生に対する大人の目は、とても厳しいものがあります。
いつの時代もそうです。明治の文豪夏目漱石という人が若者の頃もそうでした。

「近頃の子どもはなってない。近頃の若者は、さっぱりダメだ・・・・」と大人たちはよく言います。
そして、偉い大人は若者の学力低下を嘆きます。
私が中学生・高校生のときもそうでした。近頃の若者は礼儀を知らない。
テレビを見過ぎて勉強をしなくなった。

最近の子どもたちへの大人たちの心配は何かというと・・・
「与えられることに慣れてしまっている。指示待ちで自らは何もしない」
という声をよく聞きます。

みなさんが中学の受験の準備も佳境に入っていたこの数ヶ月の生活をふり返ってください。
お家のお手伝いをしましたか。
帰る時間が遅くなると、お母さんは駅や塾までむかえにいらっしゃっていたでしょう。
食卓に座れば、暖かい食事がでてきたことでしょう。
これまでは、みなさんを中心に色々なことが廻っていました。

また、学校や塾で、見たことがない初めての問題を目にしたとき、
「教えてもらっていないから、この問題は解けない」という発想になっていませんか?

自分の頭で考えてみること。
自分自身でやってみること。

この二つのことに、これからチャレンジをしていきましょう。


みなさんの前に広がる世界は広く、みなさんが登る山は高く、
頂上に続く道は険しいかもしれません。
その山道をみんなで登っていきましょう。
より高く登れば、より広い世界が見えてきます。
そして、より遠くまで景色が見えます。

六年後の皆さんには、どういう景色が見えているか、私たちは楽しみにしています。


ご父母の皆様、
これからの須磨学園中学校での生活は、ご父母の皆様方のご理解とご協力なしには
成り立ちません。どうぞ温かいご支援とご協力を心からお願いいたします。
私ども法人役員をはじめ教職員一同は、
大切な子どもさんを六年の長きにわたって託していただけることに、感謝いたします。
と同時に責任の重さに身が引き締まる思いです。
わたくしたちは、ご子女・ご子息を全力でお育てし、
情熱をもって指導にあたらせていただくことを
学園を代表し、ここでお約束いたします。


それでは、一期生の皆さん、元気に出発しましょう。
これからのみなさんの健闘と活躍を祈って、私の式辞とします。