卒業生代表答辞
衣笠 築美

 桜よりも一足先に桜開く、凛とした強さをその小さな花びらに宿す梅が、もう間もなく咲こうとしている今日の佳き日、私たち443名は卒業の日を迎えました。桜の花びらが粉雪のように舞っていたあの日、私たち共学三期生は真新しい制服に身を包み、希望と不安を胸に須磨学園の門をくぐりました。「学校へ続くあの長い階段を息を切らさずに上がれるようになった頃、あなたたちもこの学園に慣れていることでしょう。」入学式での理事長先生のお言葉が、まるで昨日のことのようにはっきりと耳に残っているのに、私たちの三年間はなんという早さで駆け抜けていったことでしょう。自分の進むべき道すら見えないトンネルの中に、あの日の私たちはいたような気がします。それが今では未来を見つめ、前向きな気持ちでこの場所に立っています。
 この三年間、「青春」そのものであった三年間に、この学園でたくさんのことを教わり、学ぶことができました。ある者はスポーツに打ち込み、またある者は勉学に励み、それぞれの道は違っても、二度と取り戻すことのできないかけがえのない日々が、今、確かな手ごたえとして、私たち一人ひとりの中に残っているのではないでしょうか。昨年暮れの全国高等学校駅伝競走大会での陸上部の初優勝をはじめとして、各クラブの全国大会、世界大会での皆さんの活躍をうかがうたびに、特進コースに所属していた私たちは、「スポーツが全国レベルの学園。勉強でも全国レベルに達しよう。」と励まし合うことができました。このような環境の中での一人ひとりが自らのなすべきことを自覚し、妥協することなく上を目指していく精神が、私たちの中で培われていったのではないかと思います。自分たちだけで全行程を考えた東京への修学旅行、文化祭や体育祭、広島での平和学習などの学校行事では、意見の対立など、クラスごとに様々な問題もありましたが、一つ一つ解決していく中で、友との友情も深まり、信頼関係を築くことができました。つらいこと、苦しいこと、逃げ出したくなることもたくさんありました。しかしどんな時も私たちは一人ではありませんでした。いつも周りにはしっかりと前を見つめて歩いている友の姿がありました。友を信じ、そして自分自身を信じて前へ進むこと。目標もペースもそれぞれ違っていますが、このことを私たち一人ひとりが須磨学園で学んだのではないでしょうか。
 このように多くのことを体験し、たくさんの素晴らしい思い出を作ることができたのも、多くの方々のご指導とご援助があったからです。ここで皆さんに感謝の気持ちを述べたいと思います。まず三年間私たちを導き、たくさんのことを教授してくださった先生方。学問を志すことの意義を、醍醐味を、そして楽しさを教えて頂いたこと、本当に感謝しています。人生の先輩である先生方にはこれからもご指導を賜りたいことがたくさんあります。永遠の師として今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。次に学園生活の中で得たかけがえのない友達。意見が食い違ってけんかをしても、お互いを認め合える。いつもはたわいない会話をしていても、悩んでいる時は自分のことのように一緒に悩み、うれしいときは心から喜んでくれる。「一生この人と友達でいたい。」心からそう思える友人に出会うことができ、毎日がとても充実していました。どうもありがとう。また、生徒会活動をする中で仕事が多すぎて泣きたくなったとき、的確なアドバイスをくれた先輩方、自分の責任の重さに押し潰されそうだった時、必死に補佐してくれた後輩たち。私はみんなに迷惑をかけてばかりだったけれど、今まで本当にありがとう。そして今日まで、私たちを支え続けてくれたお父さん、お母さん。私たちは今日、無事に卒業式を迎えることができました。あなたたちの理想とする息子や娘に成長しているでしょうか。「まだまだだ」という声が聞こえてきそうな気がしますが、いつか自慢の息子や娘になれるよう、これからも努力を続けます。今まで育てていただき、本当にありがとうございました。そしてこれからも、私たちを励まし、温かく見守っていてください。最後に、在校生のみなさん。日々の生活においての皆さんとの交流も、私たちにとって忘れがたい貴重なものとなりました。これからはより一層、勉学やクラブ活動、生徒会活動に励み、須磨学園の伝統と校風をさらに充実、発展させていって下さい。
 「To be myself」私たちは何度この言葉の意味を考えたことでしょう。「なりたい自分」はようやく見つけることができました。これからはその「なりたい自分になる」ために、ある者は実社会に、ある者は進学にと、それぞれ新たな旅路を歩んでいきます。須磨学園の卒業生であることを誇りに思い、勇気と責任感、そして思いやりを持った人間になるための努力を続けていこうと強く決意しています。
 最後になりましたが、須磨学園のますますのご発展と皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げまして、答辞とさせて頂きます。