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2022年度中学入学式 理事長 式辞

 この冬はとても長く感じられ、コロナ禍の厳しく寒い冬でしたが、ここにも春がやってきました。校庭の桜は今日の日が待ちきれずに皆さんの入学の前祝いをするかのように一足先に咲き誇っていました。
 須磨学園中学校19期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 皆さんが入学していらっしゃるこの日を私たちは待っていました。歓迎します。保護者の皆さま、ご子息ご息女のご入学のお祝いを申し上げます。 これからの6年間、ご家庭のご協力とご理解なくしては、本校の教育は成立しません。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ご来賓の皆さま、並びに育友会の本部役員の皆様、ご多忙の中ご臨席を賜り、子供たちにエールを送っていただき、ありがとうございます。
 さて、新入生の皆さん。今日、この中で何人の人が朝お家の人に起こされずに、そして自分で起きてせかされずに、自分で準備をしてここにいらっしゃったのでしょうか。 挙手は要りません。中学生におなりになったのですから、一日の始まりは自分でスタートを切ってください。では、須磨学園の中学生になるために、皆さんにしていただきたいことを申し上げます。
 1つ目は皆さんの「ジリツ」です。「ジリツ」には2つの漢字があります。自ら立つ自立と自らを律する自律です。 これから始まる中学校生活の中では、両方を求めたいと思います。皆さん、自分の身の回りのことを自分でしましょう。 今まで皆さんが受験勉強で忙しいとき、自分の身の回りのほとんどのことをお家の人にやってもらったと思います。 家に帰ってテーブルの前に座ると温かいご飯が出てくる。お風呂も沸いている。皆さんはテーブルに座ってご飯を食べるだけ。お風呂も入るだけ。 洗濯もしてくれて、ベッドもきちんと整えられている。皆さんは、勉強だけしていればいい時期を過ごしてきました。 しかし、中学生になった今日からは変わりましょう。自分のことは自分でするように心がけてください。この時期を逃すと大人になってから困ります。
 2つ目は当たり前のことを当たり前にするということです。 須磨学園は決して自由を謳歌するだけの学校ではありません。どちらかというと厳しい学校です。制服もあります。制服の着方にも決まりがあります。 制スマホもあります。ルールを守って使うことが求められています。小学校にはなかったような校則もあります。 でも、それらの決まり事は社会に出るとごくごく当たり前のことです。挨拶をするとか、ルールを守るとか、人の話をきちんと聞くとか、特別なことを皆さんに学校は求めているわけではありません。 しっかりと校則とルールを守って生活をしてください。学校はたくさんの生徒たちの集まった集団の場です。ルールを守ることの大切さを皆さんは程なくお知りになることになるでしょう。
 3つ目は自分の頭で考えるということです。皆さんはどういう自分になりたいのか決まっていますか。そのために今何をしなければならないのか、自分は今これからどうするのか、何をするべきなのか、考えてください。 極端な話をします。
 明日、もしかするとメガトン級の地震に見舞われるかもしれません。そのときあなたはどうしますか。その場面に遭遇しないと分からないことがたくさんあります。お家にいるときだったらいいです。学校にいるときでもまだいいです。先生たちの指示に従えばいい訳ですから。しかし、皆さんの登下校の最中に一人で道を歩いているときに、そういう地震に遭遇したらどうしますか。教えてもらっていないからわからない、では済まされない場合もあります。でも答えは大人である私にも分かりません。机に向かって得た知識だけでは不十分です。机に向かって学ぶことだけでは足らない、不足だということを十分に理解してください。
 私たちはこれから様々な学びを行っていかねばなりません。そのための一歩として、まず自分で決めたことをやってみましょう。 誰かが決めたことや、先生に言われたことではなくて、やらされることではなくて、自分で決めて、自分がこういうことをやりたいということをやってみてください。
 私は自分にとって一番良い選択は、自分自身が決めることだと思っています。他の誰のものでもない自分の人生です。自分で決めてください。それが本校教育の目的であり、「なりたい自分になる」自己実現の第一歩です。この先、世の中がどうなっていくのかということについては、誰にもまだわかりません。
 世界では争いが起こり、ウイルスが猛威を奮っています。私たちは今この平穏な環境の中で学ぶということができることに、改めて感謝をしなければならないと思います。私たちにできることはこの平和な環境の中で、精一杯の努力を積み重ねていくことだと思います。力を蓄えていきましょう。そして、なりたい自分になるためにひたむきな努力を積み重ねてきた人たちにもたらされる深い満足を、喜びを皆さんにぜひ経験していただきたいと思います。
 これからの6年間頑張っていきましょう。私たちは全力で応援いたします。では、張り切ってスタートしましょう。

2022年4月9日 理事長  西 泰子