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2022年度卒業証書授与式 K3学年部長 挨拶

 K3学年を代表してご挨拶申し上げます。
 保護者の皆様、本日はご子息・ご息女のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。また、これまでの学年運営につきまして、多大なるご理解・ご支援を賜りましたこと、この場をお借りいたしまして、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

 さて、卒業生の皆さん。卒業おめでとう。皆さんを「卒業生」と呼ぶ日がとうとうやってきました。前にいる学年団の先生方も、私自身も、誇らしいという気持ちと寂しい気持ちが入り混じって、とても複雑な心境であるというのが正直なところです。

 思えば3年前、新型コロナ感染症拡大の影響で、皆さんの入学式はオンラインでの実施を余儀なくされました。それからしばらくの間、オンライン授業が続き、オリエンテーション合宿が例年の形では実施できず、5月の末にやっと登校ができてからも、実登校には制限のかかる日々が続きました。学校行事についても延期に追い込まれたり、様々な制限がかかったりと、高校生活の船出は、かなりの苦難の道となりました。

 それでも皆さんは、須磨学園の「学びを止めない」という方針に乗って、この苦難の状況にも、時に柔軟に、時に力強く立ち向かってきました。文化祭では、様々な制限のある中でも素晴らしい創意工夫のもと楽しい模擬店を作り上げて、盛り上げてくれました。体育祭では、優れたリーダーシップを発揮して団の推進力となってくれました。特に昨年10月に実施した君たちの高校最後の体育祭での活躍は脳裏に焼きついています。君たちが懸命に走る姿、声を枯らして団を鼓舞する姿には感動を覚えました。そして二つの応援団のあの演舞は、もはや学園の伝説となったと思います。国内の研修旅行も、君たちの様々な工夫と柔軟な対応で無事実施できました。バスの増便や東京でのタクシー研修など、例外的な動きも多くありましたが、その中でも有意義な研修を実現しました。部活動でも、最後まであきらめずに前進するという姿勢を後輩たちに存分に見せてくれました。さらに、このコロナ禍が続く中での新制度大学入試という難しい状況にあった大学受験の対策において、受験生としての皆さんの日々前向きな姿勢は、「学びを止めない」という方針を体現する須磨学園の象徴であり、我々の誇りでした。そして何より、この難局を無事乗り切ってきた皆さんの今の姿こそが、素晴らしい成果の結晶であると思います。ぜひ自分自身を誇りに思ってください。

 しかし一方で、その全てが報われた、というほど実際は甘いものではなかったと思います。これまでを振り返ると、様々な手ごたえの裏で、「もっとこうすればよかった…」、「コロナの影響でこういうことができなかった…」など、後ろ向きな思いが浮かびあがることもあると思います。頑張ったのに結果が出なかったり、失敗の悔しさに打ちひしがれたりした経験もたくさんあったのではないでしょうか?このような経験をすると、「努力しても報われない」と悲観的な気持ちになってしまうかもしれません。

 しかしそれは違うと思います。一般的には、努力によって手に入るものは「成功」だと思われているかもしれませんが、私は、努力で手に入るのは「成功」の前に「成長」だと思います。その成長を積み重ねた先にこそ、真の成功がもたらされるのです。高校生活の振り返りは、テストの点数ではなく、賞をとれたかどうかではなく、試合で勝てたかどうかではなく、大学入試で合格できたかどうかではなく、… その過程をどう振り返って、今後に活かすことができるか ― すなわち今後の糧を得ることができるかどうか ― が大切なのだと思います。それこそが「成長」なのです。

 そして今後の成長のカギは、これまでの成功体験だけではなく、むしろうまくいかなかった失敗体験の中に数多く隠れています。失敗を糧に成長できたかどうかが本当に大切なのだと思います。勝負において「勝つ」ことを目指す中で、実際に勝った経験だけではなく、負けた経験こそが未来の勝利に向けて大いなる光になることがあります。「負けたことがある」ということが強みになることがあるのです。君たちには、うまくいかなかったことや失敗から目を背けず、そこにしっかりと光を当てて、地道に水をあげて、未来に向けての糧という大輪の花を咲かせてくれることを期待しています。

 これからも様々な苦難が君たちを待ち受けているでしょう。そんな時でも、これまでの学園生活において、「毎日長い坂を上ってきたこと」「厳しい授業やたくさんの課題に耐え抜いたこと」「文化祭や体育祭でみんなで協力して感動をつくり上げたこと」「制限がある中でも研修旅行でたくさんの発見をしたこと」「夏の暑い中、冬の寒い中でも、朝早くから夜遅くまで、そして休日でも、GWでも、お盆でも、正月でも、特別講座や部活動に参加して努力を続けてきたこと」、そして何よりも「コロナ禍を乗り越えて今日の晴れの日を迎えている今の思い」…これらすべての宝を、必ず将来の糧にしてください。そしてこの丘の上には、皆さんが確かにかけがえのない時を過ごした母なる学び舎が、これからも、いつまでも、ずっと… 君たちを見守っているということを、これから先も心の支えにしてください。

 最後になりますが、いつも君たちの近くで君たちの成長を見届けてきた先生方の思いを代表して伝えておきます。フェアウェルパーティーでの教員ビデオでも伝えましたが、我々は、君たちが生徒としてこの学校に来てくれて本当によかったと思っています。ある先生が最後の集会で言っていましたが、我々は、君たちだから頑張れたのです。先生方は、職員室ではいつも君たちの話ばかりして、文化祭・体育祭や研修旅行では、普段とは違う君たちの一面を見るとすごくうれしくて、君たちの入試の時は、自分たちが受けた時よりも胃が痛むぐらいドキドキしながら待っていました。そんな君たちと過ごした時間を、我々は誇りに思っています。君たちと出会えて本当によかった…。今はこの出会いへの感謝とともに、心の底から、これからの君たちの活躍を期待しています。これからいかなる時も、須磨学園卒業生という誇りを胸に、建学の精神の通り、『清く、正しく、たくましく』、社会で、そして世界で、それぞれの “to be myself,…”の続きを力強く描いてください。

 課題の多かった須磨学園…、とりわけ課題の多かったこの学年から、最後の課題です。―なりたい自分になれよ。そして社会や世界で思う存分活躍してください。― この課題は、提出はいりませんが、できていなければ呼び出しますよ…。だから全員、必ずやるように。そして、それができないぐらい落ち込んだときは、この丘の上に戻ってきてください。ここは君たちの母校だから… パワースポットだから… いつでも再び君たちにパワーを与えます。

 それでは3年間、かけがえのない時間を本当にありがとう。体には気をつけて、これからもそれぞれの道で、がんばれよ!

          

2023年3月4日 K3学年部長 堀井 雅幸