共学23期生、新入生の皆さん、須磨学園へのご入学おめでとうございます。学年団一同、心より歓迎致します。 保護者の皆様、ご子息・ご息女のご入学、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。今後の学年運営につきまして、皆様からご理解・ご支援を賜りますことを、この場をお借りして、よろしくお願い申し上げます。
先々週のオリエンテーションで、スパゲティの話をしました。もしかすると、おいしいスパゲティが作れることを確認するために、当日の夕食をスパゲティにされたおうちもあったかもしれません。ただ私がお伝えしたかったのは「おいしいスパゲティの作り方」ではなく、知性の話です。「スパゲティのゆで方を知らないとバカにされるかもしれない、恐い」と思った当時の私は、新しい知識、学びを素直に得ることが出来ませんでした。これが知性の低い状態です。みなさんには、新しい知識、新しい学びを臆することなく手に入れ、それを友人と共有することでさらに知性を高めてほしい、そのために本を読んでほしい、という話でした。
私たちは新入生の皆さんに、元気で明るい、魅力のある大人になってほしいと、心の底から願っています。そのために、みなさんに知性を身につけ、そして高めて欲しいのです。だけど、いくら本を読んでも知性が身につかない人もいます。そういう人は、ただ読んでいるだけで、実践をしない人です。たとえば本に「知性は健康な心身に宿る。まずは早寝早起きし、規則正しい生活を送ることから始めよう」と書いてあったとします。それをただ「ふーん」と読むだけではどうにもなりませんよね。少なくともそれを実践してみないと、本当に健康な心身を手に入れて知性を得られるかは分かりません。なのに、ほとんどの人は実践しません。なぜでしょうか。
「人は誰も、自分が悪いとは思わない」。世の中には、自分の不注意で交通事故を起こしても「ブレーキが利かなかった」と言ったり、盗みを働いても「家族のためだ」と言ったり、社会的に見ればどう考えても自分が悪いのに、全く自分が悪いと思わない人がいます。しかしこれは、そういう一部の特殊な人だけの話でしょうか。
私の知り合いで、小学校のころ、全く宿題をしない子がいました。いくら担任の先生が「放課後残ってやりなさい」と言っても、脱走してやらない。ある日、担任の先生がその子に「どうしてやらないの」と聞いたら、「習い事があるから、残ってやれません。家で少しでも時間があるならゲームをするか漫画を読みたいし、宿題をする暇がありません」と答えました。周りの生徒は引いていましたが、その子は、宿題をやらないということを全く悪いと思っていませんでした。どう考えてもその子が悪いのに、です。そもそも宿題を「やらなければいけないこと」と捉えていなかったようです。もちろん、その子は、私です。当時の担任の先生、本当にごめんなさい。私がそこからどうやって少しはまともな人間になったかは、生徒の皆さんには来週以降少しずつ話します。
さて、みなさん、自分のことを思い返してみてください。今まで注意を受けたことを思い出してみて下さい。「自分は全く悪くないのに、なぜこの人怒っているんだろう」と思ったことはありませんか。
本などから新しい知識を得ても実践までには及ばないという人の思考回路は、極端に言えばこういうことです。「自分は変わらなくて良い、間違っていない、今のままで十分」と考えてしまうのです。そのような考え方を続ける人が、元気で明るい、魅力ある大人になれるでしょうか。たぶん、なれないでしょう。「いつもギリギリまで寝ているけど、早起きしたら人生変わるかも」と思って実践できる人、注意やアドバイスを受けた際、せめて「自分が悪いのかもしれない」と考えて、素直に受け入れることができる人は、きっと魅力ある人になれるでしょう。ぜひ、みなさん一人一人が、謙虚に素直に他人の言葉を受け入れて、素敵な人物になることを願います。
では復習です。私たちは新入生の皆さんに、元気で明るい、魅力のある大人になってほしいと考えています。そのために、みなさんの知性を高めて欲しいと思っています。「自分は悪くない、変わらなくていい、今のままでいい」と縮こまって否定的な考えを持つのではなく、本から得られる新しい知識、友人との会話で得られる何気ないヒント、先生や保護者の方から得られる親身なアドバイスを、いったん素直に受け止めて実践できる人になってほしいと願っています。
最後に、私は皆さんとこの場所で出会った奇跡に感謝し、この出会いを無駄にすることなくこれからも、皆さんにとって少しでも役立つ話をして、全力で皆さんの成長をサポートしていくことを、学年を代表してここに固く誓います。
簡単ではございますが、学年部長挨拶とさせて頂きます。生徒の皆さん、保護者の皆様、これからの3年間、どうぞよろしくお願い致します。
2021年4月3日 K1学年部長 多田 鉄人