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2018年度中学校入学式 理事長 式辞

 
         

 長く厳しい冬を通り抜けて、ちょうど一週間前、校庭の桜は皆さんの入学を待ちきれずに咲き始めました。たとえ冬が厳しく長くても、毎年春は確実にやってくるのだと改めて感じさせてくれる今日の日を迎えました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんをお待ちしておりました。これからの6年間、長い長い時間ですが、どうぞよろしくお願いします。保護者の皆様にお祝いを申し上げます。ご子息ご息女のご入学を心から歓迎します。これから6年間という長きに渡り、私たちに大切なお子さんを託していただけることに、大きな喜びとやりがいと責任を強く感じています。保護者の皆様のご期待にこたえるべく、教職員一同、一丸となり全力を尽くして、お子さんの指導にあたらせていただく所存です。ご来賓の皆様、本日はお忙しい中にもかかわらずご臨席賜りましてありがとうございます。これからの6年間、子供たちを温かく見守り激励していただくようにお願い申し上げます。

 さて、新入生の皆さん、皆さんが一日も早く新しい生活のペースとリズムを作り、中学校生活に慣れることを期待しています。これからの6年間は、皆さんが少年少女から大人になる大切な期間です。そして、次の段階の教育を受けるための準備の期間でもあります。この時期に皆さんの「人格」の大部分が形成されるといわれています。どういう自分になりたいのか、どういう大人になりたいのか、どういう仕事をしたいのか、どういうことを学んでいきたいのか、これからじっくり考えていきましょう。

 その過程において、皆さんに期待することが3つあります。
 1つ目は自立です。自分で自分のことができる人になってください。
 2つ目は自律です。自分の頭を使って、自分自身で考えることができる人になってください。答えを人に教えてもらうのではなく、まず自分の頭で考えることができる人になってください。
 3つ目は他人の気持ちを考えることのできる人になってください。相手の立場になって物事を考える。これはとても難しいことです。想像力の問題だと思います。相手の嫌なことをしない、相手が喜ぶことをする。そんなあたりから始めればいいでしょう。

 では、自立についてお話をします。
 皆さんが受験の準備をしている期間、お家での生活は皆さんを中心にして回っていたと思います。塾が遅くなったときは、お父さんやお母さんがお迎えに来てくださる。テーブルに座れば温かいご飯が出てくる。朝はお母さんが起こしてくださる。色々な人の温かい思いに支えられて、皆さんは過ごしていらっしゃいました。勉強だけしていればよかった、という人は少なくないと思います。受験を前にした皆さんにはそれが許されていました。でも、今日から皆さんは中学生です。これをきっかけにして、少しずつでもいいので、少なくとも自分のことは自分でできるようになってください。言われなくても朝自分で起きる、言われなくても学校に行く準備をする。自分の身の周りのことが自分でできるようになったら、今度は自分以外の人のために何かできることをしていく。
 須磨学園に入学された皆さんは、これからの6年間で14回もの宿泊研修旅行があり、そのうち3回は海外研修旅行です。研修旅行は集団行動ですので、時間を守らないといけません。朝自分で起きて、自分で準備をして集合時間に遅れないようにしないといけません。みんなに迷惑がかからないようにしましょう。「早くしないと遅れますよ」といってくださるお父さんもお母さんもいません。ですから、少しずつ自分のことができるように今から準備をしてください。できることならば、自分のためだけでなく、他人のためにも良いことができるようになってください。

 次に、自律についてです。
 皆さんが須磨学園で過ごされる12歳から18歳までの期間は長い長い時間です。今から皆さんがこうありたいという目標を持っておられるのであれば、皆さんは何者にでもなることができます。何になりたいか、どういう人になりたいか、色んな機会に色々と考えてみてください。皆さんがこうありたい、こういう人になりたいと決意をすれば、何者にだってなれます。何になりたいか、どういう人になりたいかがなかなか見えてこない人、決まらない人もいるかもしれません。それはそれでいいと思います。あせる必要はありません。色んなことをやってみましょう。色んなところに行って、色んなものを見る。色んな国の自分とは異なった考え方を持った人と話をして、自分の世界を広げていく。そして、6年後にどんな道にも進めるように力をつけていきましょう。
 私たちの使命は、皆さんを優しく育むだけでなく、ときには叱咤激励しながら、皆さんの進むべき道を示し、環境を整え、困難も喜びも共にしながら成長していくことです。ひたむきな努力を積み重ねてきた人たちにもたらされる深い喜びと満足を、ぜひ皆さんに経験してほしいと思います。

 最後に皆さんに申し上げておきたいことが1つあります。それは、どんな人でも失敗するということです。程度の差はありますけれども、失敗しない人などいません。そして、失敗することは決して悪いことではないということです。むしろ、私は「失敗してよかったね」というと思います。友だちとの関係で失敗をすることもあるかもしれません。そのとき大切なことは、「なぜ失敗したのか」ということです。それを考えてください。そして、2度目の失敗をしないようにしましょう。もしも2度目の失敗をしてしまえば、また「なぜ失敗したのか」を考えましょう。そうすることで、3度目の失敗を同じ理由で繰り返すことはなくなるでしょう。皆さんには、そういう学びを期待します。失敗を恐れず、間違うことを恐れずに、ひるむことなく果敢に勇気を持って、色々なことにチャレンジしてください。

 みなさんのこれからの活躍を期待して私の話は終わります。

2018年4月7日 理事長 西 泰子