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2018年度中学校入学式 学園長 式辞

 今日、ここに入学式を迎えられた皆さんは、今日から6年後の卒業式のとき、卒業アルバムに写真がどのように写っていると思いますか。自分の目指した志望校にめでたく合格をして満足をしている顔。あるいは友達と楽しく学生生活を送って満面の笑みを浮かべている姿。どのような姿で高等学校の卒業アルバムに写っていたいですか。写真に写っている自分の姿、あるいは写っていたい自分の姿を思い浮かべながら、なりたい自分を今想像してみてほしいのです。今しばらく時間をとるので、なりたい自分を思ってほしいです。考えてみてください。

 須磨学園が一番大切だと考えていることは、試験の偏差値ではありません。一流大学への進学だけではありません。その後の一流会社への就職でもありません。須磨学園が一番大切だと考えていることは、一人ひとりがその人なりの「なりたい自分になる」ということです。どうしたら「なりたい自分」になれるのか、どのような「なりたい自分」を目標に持てば良いのでしょうか。人は、たとえ一卵性双生児であっても違います。人は千差万別であります。一人ひとりが違っていて、それが当然なのです。ですから、一人ひとりが自由自在に自分に合うように、なりたい自分をデザインするところから全ては始まります。具体的にどのようにデザインするかについて、須磨学園の教育方針と関連させてお話をしてみます。

 須磨学園の教育方針を一言で言えば、勉学だけではなく、勉学によって身につけ育んだ一人ひとりの「専門性」と「人間性」と「国際性」によって、良き社会人として社会や国や世界に貢献し、将来の仕事を通して、自分のライフスタイルを確立し、そのライフスタイルそのものを自分自身が楽しむ、そういう人を創っていくことであります。良き社会人にとって、「楽しさ」と「温かさ」が大切です。学生時代が勉強だけで終わってしまうとしたらどうなるのでしょうか。社会に出て、自分のしてきた勉強が全く何の役にもたたず、社会に何も貢献できない。おまけに中学時代、高校時代に自分自身はちっとも楽しくなかったとしたらどうでしょうか。最悪です。そんな中学高校時代は嫌でしょう。
 専門性を身につけるということは、例えば科学の勉強を通して社会に貢献するというだけでなく、自らも科学を楽しむということを忘れないでほしいです。
 国際性を身につけるということは、例えば英語を学び、それを通して社会に貢献することはもちろん大切ですが、それと同時に自分自身が英語を楽しむことを是非忘れないでほしいのです。
 人間性というのを考えると、それはいつも「心」に行き当たります。では、我々は心をどう持てば良いのでしょうか。99歳で亡くなった私の人生の先生である中山素平さんという日本が誇る銀行家がいらっしゃいました。その中山さんに私が直接いただいた言葉があります。私の一番好きな言葉です。「心を広く、心を高く、心を深く、そして心を温かく」という言葉です。私は入学のこの日に、皆さんにこの言葉を贈ります。皆さんどうか、広く、高く、深い人になってください。それと同時に温かい人にもなってください。

 これらのことを頭において、これからの学校生活で「なりたい自分」を探し、「なりたい自分になる」ことを、成績がちょっとくらい悪くても、字が下手でも、ガラスを割っても、自分に自信がなくても、そんなことにとらわれず、遠慮せずにデザインしていってください。こんなことをいう学校は、私の知る限り、日本では須磨学園だけです。

 最後に、保護者の皆様にお願いがあります。お子様が話される進学や将来の希望について、それがどんなことであっても、どうか積極的に、徹底的に、肯定的に温かく励ましてさしあげてください。「それいいね」、「やってみたら」、「できる」、「大丈夫」、「やったほうがいいよ」など、保護者の力強い言葉を聞くだけで、お子様は心の底から勇気や元気が湧いてくるに違いありません。私が今在るのは、私を徹底的に信じて励まし続けてくれた父と母のお陰です。

 理事長も私も須磨学園の教職員全員が諸君らの一人ひとりをサポートしていきます。諸君らの一人ひとりを応援していきます。さあ、夢に日付を入れましょう。そうすれば、夢は「人生の目標」になります。その目標を目指して、一緒に楽しく歩んでいきましょう。これからの皆さんの健闘を祈っています。

2018年4月7日 学園長 西 和彦