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2016年度1学期始業式 学園長 訓話

 おはようございます。1年の始まりの始業式において、お話をさせていただきたいと思います。今日の私の話は3つあります。

 1つ目は、個性が一番大事だということです。大阪の公立中学校の校長先生が、「女子は子供を2人産むことが一番大切である」という発言をしておられたのを、テレビや新聞のニュースで聞いたと思います。それを聞いて私が思ったことを言います。人には女性であるとか男性であるとかということよりも、もっと大切なことがあります。それは個性ではないかと思います。もちろん、女性には大事な母性という子供を産むということはありますが、それについて、教育者が云々言うことではないと思う。それは、あくまでも母になる人の意思が一番尊重されないといけないと思っています。須磨学園は一人ひとりの個性を大切にして、その個性を伸ばしていくということを一番重要なことと考えています。中学、高校だけでなく、卒業した後も一生かかって、人としての個性を伸ばしていくことが大切であると考えてほしいです。

 2つ目は、どういう人になってほしいのかという私の願いです。私は大きな人になってほしいと思っています。ほっといても大人にはなります。大人は大きな人と書きます。物理的に大きな人になってほしいわけではありません。人それぞれ身長も違うし大きさも違う。背が高い人になりたいと思ってもなれるわけではありません。成長ホルモンを足に打てば足が長くなりますが、それを医者に言ってどうにかなるわけではありません。
 私は、身体の大きさではなく、心の大きな人になってほしいという願いを持っています。諸君らが月に一回やるxyzTを通して、そのことを考えてほしい。xyzTで一番大切なことは、xyzではなくTです。つまり、大きな心を持っていても冷たい人がいるでしょう。心の温かさが人としてすごく大切なのではないかと思います。心が広い人、心が高い人、心が深い人、というと一言で簡単そうに聞こえますが、この広さ、高さ、深さを持つために具体的にどうすればいいかを毎日考えることが必要ではないでしょうか。

 3つ目は、こつこつ準備をしてほしいということです。インターネットを探していると、須磨学園を卒業した人のブログが出てきました。何が書いてあったかというと、「須磨学園はひどい学校だ。成績順にクラス分けされていて、初めは理系上位のクラスだったが、勉強してなかったからどんどんクラスが落ちてしまった。勉強だけさせられてどんどんやらされて、気が休まる時がなかった。」理系の女子でした。それを読んで私は胸が痛みました。でも、その人のブログの最後に「PMとTMは便利で私は今でも使っている。そのおかげで、厳しい須磨学園も乗り切ることができた。」と書いてありました。けなされたのか褒められたのかわからないブログでした。
 私が言いたいことは、須磨学園はみんなに勉強しろと強制しています。勉強しなかった人は、たとえ1年生のときに天才少年、天才少女として入ってきたとしても成績が落ちていってしまいます。それをどう考えるか。私は、大学の現実を見るにつれて、それが社会そのものなのだと思います。難しい大学の入試は倍率が3倍です。入学するときに既に競争があります。大学4年の時に、教授が「君、大学院に言ったらどうだね」と言う人は3分の1くらいなので、大学院の修士課程の倍率も3倍です。修士課程から博士課程に行く時の倍率も3倍くらいです。「君は博士課程に行くより就職しなさい」と言われたら終わりです。博士課程に進学した人のうち、本当に博士がとれる人は3分の1くらいです。普通の人は博士課程をとって就職しますが、大学に残ろうと思っても博士になって3人に1人しか残れない。大学に残った人の3人に1人しか教授になれません。そうなると、教授になるまでにものすごく競争がある。会社に入っても、係長になって、課長になって、部長になってというときにもっと厳しい社会が待っています。それを考えると、勉強しなきゃいけないというか、希望する大学に入るためのスキルを身に着けることは、避けては通れない現実です。その現実に対して、毎日準備をこつこつしていくということはすごく大切です。目の前の現実にしっかり向き合って取り組んでほしいと思います。
 では、やる気のエンジンはどういう風にしたらかかるのか。テレビでこういう光景を見ませんか。会社の人が集まって鉢巻をしめて、「頑張るぞ」と言っているのを。「頑張るぞ」という言葉は3日しか効きません。「頑張るぞ」と言って拳をあげるのはだめです。今日、諸君らに言いたい。「頑張るな」と。頑張るという気持ちで毎日を過ごしていっても3日で終わります。だから、頑張らないで自分の好きなことから始める。そういう感じで、エンジンをかけて1年を始めてほしいと思います。

2016年4月8日 学園長 西 和彦